2016年8月11日木曜日

自転車の楽しみ方を発信する人〜沙杏院project.

自転車の楽しみ方は人それぞれだ。
速く走ること、坂道を登ること、遠くに行くこと、美味しいものを食べに行くこと、素晴らしい景色を見に行くこと、自転車でなければ体感できな道路や風を感じること。数え上げたらキリがない。
そして世の中には、より多くの人に自転車の魅力を知って欲しいと、さまざまな自転車の楽しみ方を発信している人たちがいる。



先日、アトリエに東京からお越しいただいた石谷さんも、自転車の魅力を発信し続けている人の一人だ。
彼は、独自の「沙杏院project.」を立ち上げ、主に輪行やアニメの聖地巡礼を自身で行った自転車旅を記事にまとめ、同人誌として紙媒体の小冊子を制作し、コミックマーケットなどのイベントで販売されている。
聖地巡礼とは、アニメ作品の舞台やシーンに登場する場所を実際に訪れ、その作品をより身近に感じて体感して楽しむというもの。これについては個人だけでなく、自治体レベルで取り組んでいるところもあって、今ちょっとしたブームになっている。
その聖地巡礼を、自転車に乗って自分の足でペダル漕いで行ったら楽しいよ!というのが、彼が発信している自転車の魅力のひとつで、彼がまとめた記事ではその具体的方法なども記載され、写真も添えられていて、とても興味深い。

「輪行」とは、公共交通機関を利用して自転車を運び移動すること。
例えば自転車では行けない遠い場所でも、目的地に近くまで自転車と共に公共交通機関を利用して移動し、そこから自転車に乗って目的地を目指すことができ、自転車旅の一つの手段となっている。
とはいえ、それぞれの乗り物や会社によってルールが異なり、基本的には規定の大きさに収まるよう輪行袋に入れて持ち込まなければならないし、自転車の持ち込みそのものが許可されていない場合もあるので、全て自由というわけではないので注意が必要。
そして彼は、輪行が可能な高速バスを紹介し、それを利用した自転車旅についてまとめた小冊子も発行されている。

着眼点が面白く、最初に挙げた自転車の楽しみ方から一歩進んで一風変わっているところが、とても素晴らしい。
ましてや、インターネットがこれだけ普及している中で、ブログなどITでの発信ではなくあえて紙媒体の同人誌を制作し、イベントで販売されている。そのこだわりは何なのか?

私は彼に「なぜ、紙媒体での発信とイベントでの販売にこだわるのか?」と尋ねてみた。
彼から返ってきた答えはこうだ。
「自分が参加して販売を行っているコミックマーケットというイベントは、入場するのはもちろんのこと、人気作家の作品を入手するために何時間も並ばなければならないほどとても大きく大変な盛り上がりを見せているイベント。
そのイベントにわざわざ足を運び、自分のブースに来て足を止めてくれて、自分の作品に興味を持ってくれる人と一対一で対面してその人と触れ合い、作品を渡すこと。それに意味がある。
全世界、不特定多数の人に自分の作品を発表することよりも、人との触れ合い、対面して作品を渡すことのほうが、自分にとっては大きな価値があるんです。」

彼は自信を持って答え、私もとても納得ができた。
利益なんてほぼゼロ。それでもそのような手法で販売することにこだわり、けして押し付けではなく、興味を持ってくれた人に更に興味を持つことで、彼自信も満たされる。素晴らしい取り組みだと思う。

8/12(金)〜8/14(日)の三日間、東京ビッグサイトで「コミックマーケット90」が開催されている。
彼は、明日8/14(日)にこれまでに発行した小冊子と新刊「折りたたみ自転車で行こうよ福岡山口熊本!」を販売される。
その新刊の発行にあたっては、4月に起きた熊本地震で大きな打撃を受けている九州の観光を支援したいと思い制作されたとのことで、昨年彼がアトリエを訪ねてくれた時の様子も掲載されているそうで、とてもありがたく頭の下がる思いだ。
その小冊子は近日アトリエに送ってくださるそうなので、指折り数えて届くのを心待ちにしたい。
前回アトリエに立ち寄られた際にオーダーいただいたサコッシュを一緒に連れてきてくださり、我が子と久しぶりに対面する母の気持ちになって涙が出るほど嬉しかった。

自転車の楽しみ方は人それぞれ。
もう何年も私が書き続けていることだけど、人との縁が繋がるにつれてその楽しみ方が広がっていることを実感する。
私は私のできることを成し遂げたいと思う。
サコッシュを全ての人へ。
がんばります。


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